小元洋伸(オモトヒロノブ)
1968年福島県に生まれる。少年期はサッカーに明け暮れ、中学時代にアナーキーと出会う。後にTHE MODS、THE CLASHと出会い、ギター&ボーカルとしてバンドを始めたが、ギターを練習するより、ギターを分解することに夢中になる。
高校卒業後、上京し、レオミュージックヘ入社。機材販売からスタートし、独学でギターリペアを習得し、技術課ヘ配属される。その技術力の高さに、国内外有名アーティストから絶大な信頼を得る。
今までに関わった代表的なアーティストは、奥田民生、Mr.Children、THE COLLECTORS、田中一郎、忌野清志郎、布袋寅泰、福山雅治、小田和正、スガシカオ、杏子、泉谷しげる、佐藤竹善、南こうせつ、ベンジー(JUDE)、GRAPEVINE、浅田信一、會田茂一、AIR、GOING UNDER GROUND、GO!GO!7188、レミオロメン、POLYSICS、10-FEET、SION、松田文、甲斐よしひろ、内藤幸也(ARB他)、 PERSONS、杉本恭一(レピッシュ)、ZONE、BEENBAG、辻剛(PUFFYバンド)、SADS、長田進、加藤薫、鎌田ジョージ、中野豊、鶴岡昌義、エディヴァンヘイレン、マイケルシェンカー、ブライアンセッツァー、クーラシェイカー、TNT、ロスロボスその他。
数えだしたらきりがないくらいいるが、「ギターが治れば、プロだろうが、アマチュアだろうが、関係ない」というモットーなので、誰のモノだったかは確実に記憶していないのが正直なところ。
2005年11月、今までの実績と技術力を認められ、新たにリベア部門を設立したPCIに入社。
Dr.小元へのミュージシャンによるコメント(PCIサイト)
PCI:
どこで育って、ギターと出会ったか教えてもらえますか?
Omoto:
福島県原町で'68年生まれです。LP Custom'68は欲しいですがVintage高騰で手が届きませんね(笑)Guitarを弾くようになったのは、まわりの友達の影響もあってですね、遊びではありますがバンドを組んだりなどしてました。
PCI:
その後上京して、すぐ楽器業界に入り、リペアという流れですか?
Omoto:
高校を卒業して、少し実家の家業を手伝ったり、アルバイトをしてから、東京に行こうと考えました、楽器や音楽業界の方には行きたいとは何となく思ってはいましたが、東京に行けばとりあえず何かしらの仕事はあるだろうと思って上京しました。まずバイト探しで楽器店に面接等にも行きましたが、当時は楽器店で特に求められていたのはコンピューター系に知識のある人でしたので、自分はLMという意味さえわからない、無知だったので受かりませんでした。その後フロムエーにレオミュージックという所で、スタッフ募集というのを見つけて面接に行き、結論から行くとそこで約20年働く事になるんです。
PCI:
今名前が出た、レオミュージックについて教えてもらえますか?
Omoto:
はい、レオミュージックは現在ももちろんあります、ライブ・コンサートツアー・レコーディングなどで、国内外ミュージシャンに楽器等機材レンタルがメインです。かなりの数のVintage GuitarやAmpがそろっていました。たまに雑誌等でミュージシャンのLive機材を見るとAmpなどにLEO Musicと書いてるの見た事ある人も多いのではないでしょうか?当時はレンタル以外に、大きなリハーサルスタジオもあったのと、ショウルーム的に販売も行ってました。毎日色々なミュージシャンが来て、スタジオに入っていましたし、販売の方にも来てくれてリペア出してくれていたという感じですね。さっきの話に戻るとフロムエーでの募集はLiveクルーのスタッフ募集でした、とりあえず音楽業界にと思っていた私は面接に行ったのですが、遅くに行ってしまったらしく、「もう人数一杯になったんだけど、うちの販売の方なら、空きがあるので、そっちで働いてみる?」と紹介してもらったので、販売の方に入る事になりました。
PCI:
レオの販売という店舗のスッタフや規模はどのくらいだったんですか?
Omoto:
当時働いていたのは4人くらいです。1階がスタジオで2階が販売ルームでした。
PCI:
すぐにリペアという訳ではないですよね?リペア学校など行っている訳ではないですし、リペアをやるようになったのはどういう経緯で、技術もどうやって覚えていったんですか?
Omoto:
リペアスタッフというより、当時はリペア学校などは出来初めのころでしたし、更に楽器店のスタッフはほとんどみんなある程度調整等は自分らでやっている人が多くて、その中で見よう見まねで技術を盗み、わからない事は教えてもらう。教えてもらうというよりはこれが正解というのはないですから、アイデアをもらうといった感じですね。私ら世代はみんなそうではないかと思います。
リペアに関してはもちろん出入りしている外注の人もいました、ただ毎日来て修理品を持っていく訳でもないですし、レオのお客さんの大半はミュージシャンですぐその場で直してほしいという要望の方が多かったので、リペアも店で増やしていったという感じですね。
最初はギターの事はわからなかったので、徐々にやっていく事になる訳ですが、最初はケーブル作りがメインの仕事でした、今でこそ当たり前のケーブルになりましたが、Beldenを既にレオはお進めしてました、当時からミュージシャンの間では、結構評判のケーブルでしたので、たくさん作りましたね。
すこしづつ、なれてきてからギターの修理、改造も始めていきました。
最初のリペアの仕事はTELEのフロントP.Uをハムに交換でした、さすがにどうやったら良いか迷いましたが、ルーターが置いてあったのでそれを使ってバッと削りました、さすがにずれないように緊張はしましたね。まわりはノミとかで削るのかと思っていた様ですが、そうやるとビックリしてたのを覚えています。
Omoto:
フリーハンドです(笑)線を引いてずれないように慎重に削っていきました。無事にうまく行きましたよ(笑)
今はもちろんテンプレート作ってしっかり作りますが、そのアイデアを見たり聞いたりするのは後です。
性格なのか、作業に関しては結構几帳面な所があるので、わからない事は調べたり、研究するのが、好きなんです。昔から電機機器やギター、アンプなど、壊れている物や調子の悪いものは分解して、調べて構造をある程度理解して、直すというのが性にあっているんだとおもいますね。
PCI:
その後ずっとリペアをやっていってるんですね?
Omoto:
そうです。先ほども話に出たように、誰かに習いながらや書籍等も少なかった訳ですから、常に試行錯誤し続けています。
PCI:
今も多くのミュージシャンからの駆け込み寺となっているような原因はどこにあると思いますか?
Omoto:
レオの頃からも最終的に他でもなかなか直らなかったというものが人づてで回ってきました、その度にもちろん簡単には直らないものもありましたが、根本的というよりも、あるべき様にちゃんと調整されていない、バランスが取れていない、という場合が多くてピッチが合わないチューニングが狂いやすいんだというのに、気付きました。特に調整の面で色々なミュージシャンに評価されているように感じます、今でも新品のギターを買ったら、まず持ってきて調整依頼や、季節の変わり目等に特に悪い所がなくてもチェックに持ってきてくれる人もいます。
PCI:
調整の話が出ましたが、特に気を使っているんですね?
Omoto:
はい、そのギターにとって一番いい状態と言うかバランスが大切だと思います。『弾きにくいから弦高を下げ、下げても弾きにくいし、サスティーンはないし、バズもおきて、弾きにくいまま』と言って持ってくるお客さんがいて、預かり調整して渡すと『すごく、弾きやすくなりました、弦高さげたんですか?』という質問に、『ネックなどの調整をして、実際は弦高は少しあがってます』というと皆びっくりしますね。
何でも弦高が低いと弾きやすいという、思い込みが皆さんあるようで、すごく偏った人以外(スライドを多様する人や早弾きでライトハンドを多用する人など)は別ですが、基本的に、皆が弾きやすいと思える調整というのは、大体同じと私は思っています。
PCI:
それでは調整で来たギターはみんな同じ状態にしているという事ですね。
Omoto:
基本的にはそうです、ナットの高さとネックをまっすぐにすると言うのはどのギターも一緒ですので、あとはお客さんの弦高の好みや、1弦と6弦を見てそれに合わせてあげるという事もありますね。
フレットの高さなど、ギターは様々なので、そのギターに合った調整を常に心がけています、それで弾きやすさ、音自体も格段に良くなります。
調整した後出来るだけ長い時間弾いてチェックするようにも心がけています。
私の手を見てください、小さいでしょう、この小さい手でも弾きやすいギターであれば、他の人にとっては更に弾きやすいギターだという事です。(笑)
調整に関して特に意識するようになったのはレオミュージックがJames Tyler Guitarを輸入しだしてからですね。今でこそ、多くの楽器店で多く並んでいますが、レオは日本でも早くから取り扱ってましたから、それらの検品で調整を多くするようになってからです、いくら良いギターでも、気候の違う日本に入ってくるとネック等も動いたりしますので、調整してあげないと良い音は出ません、Guitarは、ばっちりと調整して初めて良い音が出る訳ですから。
例えばお客さんでもサスティーンが伸びないしあまり良い音が出ないなと思っている人で、すぐP.Uを変えようかな?とかフレット打ちえようかな?と思っている人も、実はちゃんと調整されていないという場合が多いのではないでしょうか?ちゃんと調整してそれでも音色が気に入らなければ、P.Uを変えるのがベストかと思います。
PCI:
最近良く名前を聞くバジーフェイトンチューニングについてはどう思いますか?公認は受けてますか?
Omoto:
公認は受けてはいません。将来的にどうしても必要という事になったら、とるのも一つの選択だとは思っています。
今は楽器の精度という面ではあがっていると思います。フレットの溝切りは機械で正確に位置決めするので、フレット音痴になっているギターはまず見ません、昔アコースティックギターでどうしてもピッチが合わないと持ってこられたギターでなんでだろうと調べつくして、原因はNutから1Fまでと1Fから2Fまでの長さが同じで、1Fに少し指板を少し長くした事があります。(笑)
バジーフェイトンチューニングで確かに和音等が良くなるというのはわかるのですが、リペアする側とかよりも、それをするユーザーの方もそれに合わせた知識も必要になるという事なので、すべての人にというのは難しいだろうとは思います。ギターの状態や弾き方等もそれぞれ違いはあるわけですから。
今まで出ているCDなど聞いてもそこまで気になるほどおかしいというのはないので、絶対音感など持っていればわかってしまうんでしょうが、許容範囲内ではないかなと思います。
PCI:
その後、レオからPCIに移りE.W.S設立という訳ですね。
Omoto:
そうです。今から7年ほど前にレオミュージックはレンタル業務に専念する事になりました。私は技術課という方でその後もリペアを続けていました。それから数年してPCIに入りました。
PCI:
E.W.S.としてやっていて変わった事はありますか?
Omoto:
基本的に作業自体は変わりません。今までのプロミュージシャンも変わらず来てくれていますし、PCIで輸入しているXoticGuitarの出荷時の検品やアフターメンテナンス、その他取り扱い輸入エフェクターの修理などもしています。一般のお客さんも少しずつ増えてきましたね。よくPCI製品しか修理してくれないのですか?と聞かれる事があるのですが、もちろん他メーカーの物も受け付けています。普通のリペアショップと思ってください。コチラがE.W.S.のページです(http://www.ews-japan.com/)Blogも少しずつですがUPしていますので、たまにのぞいてみてください、こうしたいという改造など耳寄りな物が載っているかもしれませんよ(笑)
Omoto:
それは納期ですね。私は、預かったギターは出来るだけ早く作業に取りかかり、早く渡せるように心掛けているんです。あまり放置してしまうと、お客さんにもギターにも悪いからです。ギターを預かって、やっと見れるのが2週間後とかだとお客さんに申し訳ないですからね。修理品を預かったらチェックし、出来ればその場で大体の見積りを出すか、直せるようならその場で直してしまいます。来店された方の二度手間にならない様にしたいので。預かる際にもお客さんの希望納期を聞いて、確実に間に合わせる様に心掛けています。もちろん、早くするからと言って雑にならないようにも気を付けています。
Omoto:
ホームページに大体の価格表も載っていますが、基本的には作業時間による所が大きいですね。高めかな?と設定されているものも、もしかしたらあるかもしれません。他より安いと思われる事でも、作業の内容が悪いという訳ではありませんので誤解しないでくださいね。(笑)フレット打ち変えは、元々の状態にどうしても左右されるのですが、¥40,000からですね。よくオークションなどで「やけに安いな〜」と言う所がありますが、打ち変えでいくら、ナット交換でいくら、指板調整でいくらなど、事細かに決まっている所もある様ですが、フレットをうち変えるという事は少なくとも、今までのフレットの高さと同じもしくはさらに高くなる訳ですから、Nutは基本的に変えなくてはいけませんよね?(もちろん例外はあります)フレットを抜く訳ですから、指板修正も基本的にしますよね?メイプル指板の場合は塗装をおとしたくないため、しない場合も多いですが。E.W.S.ではすべて込みでとしています、というのは、先ほども言ったように出すときにすべて同じクオリティーで出したいからです、1/2の金額で1/2のクオリティーの仕事という訳ではないので。ただ単にうち変えるだけでは無くて、しっかりとした調整をする事によって、弾きやすさと鳴りの良さ等、かなりシビアに気をつけてやっているとはおもいますので、その辺を見て頂けたらと思います。まずは
repair@ews-japan.comもしくは
PCIの掲示板にていつでもお問い合わせお待ちしています。見積りの依頼だけでももちろん構いませんので。
PCI:
エフェクターやアンプの修理もやっていますか?
Omoto:
大掛かりな物はさすがに出来ないですが、多少のものであれば修理しています。エフェクター等はPCIの取り扱い製品だけに限らず、相談にのっています、ヴィンテージのディレイなど交換パーツなどがないものもあるので、必ず直るとは言えないですが。。。何でも気軽に聞いてもらえれば、出来る限りの対応いたします。最近はE.W.S.にてWahのModも行っています。これはMODというよりは筐体以外中身を全てオリジナルに変えています。配線は一つ一つ手作業でしかも基盤を全く使わない、Point-to-Pointにしています。基盤の物と比較して、音でこちらに決めました、見た目による所が大きいですが。回路は至ってシンプルで、オールドのVOXを参考にしました、そこからパーツをセレクトしていき、最終的な所は全て耳です。私に取って気持ちのいい音でなければ行けない訳ですからね。満足の行くものが出来たと思います。在庫は常時置いてありますので、お立ち寄りの際に是非試してください。後はArionChrousのModも行っています。LAのスタジオミュージシャンの足下でよく見る事のあるコーラスですが、音はなかなか面白い音がするんです、ただ難点があって、ON/OFFの音量差が大きかった事です。これは基本的にTrueBypassにする事で解消できました、それ以外に、揺れ方をかえたVibeモードを増設してあります。EQも少し変えてあります。Wahの方はお客さんの持ち込みの物も受けていますがarionに関しては、筐体がプラスティックなので、持ち込みはお断りしております。まだ決定ではないですが、今後これら以外にも現在も新しい製品を企画中です、お楽しみに。